ビタミンDとCOVID-19
2022年2月4日
【論文に触れてみよう!】
ビタミンDとCOVID-19
Springer Nature社が刊行している電子ジャーナル『Scientific Reports』に2020年に掲載された論文 “Analysis of vitamin D level among asymptomatic and critically ill COVID-19 patients and its correlation with inflammatory markers(無症状および重症のCOVID-19患者におけるビタミンDレベルの分析および炎症マーカーとの相関関係)”によると、ビタミンDの欠乏は、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを大幅に高める可能性があります。
COVID-19患者のビタミンDレベルとそれが重症度に与える影響を調べたこの研究では、無症状患者91人とICU入院を要する重症患者63人からなる合計154人の参加者のうち、無症状グループの29人(31.86%)、重症者グループ61人(96.82%)にビタミンD欠乏がみられ、これら90人のうち、62人の患者が重度のビタミンD欠乏であり、そのうち52人が重症で、10人が無症状でした。ビタミンDレベルが正常であったのは、重症患者のうちわずか2人でした。また、ビタミンD欠乏症の患者では、炎症マーカーのレベルも上昇していました。さらに、死亡率はビタミンD欠乏症の患者では21%、ビタミンDレベルが正常な患者では3.1%と、ビタミンDが欠乏している患者のほうが高いことが示されました。
この結果に基づいて、著者らは、COVID-19のリスク集団に対するビタミンDサプリメントの投与を推奨しています。
参考文献
Jain A, et al. Analysis of vitamin D level among asymptomatic and critically ill COVID-19 patients and its correlation with inflammatory markers. Sci Rep. 2020; 10: 20191.