ビタミンDと赤ちゃんの発育
2022年2月4日
【論文に触れてみよう!】
ビタミンDと赤ちゃんの発育
米国の医学誌『JAMA Pediatrics』に2018年に掲載された論文 “Association Between Vitamin D Supplementation During Pregnancy and Offspring Growth, Morbidity, and Mortality: A Systematic Review and Meta-analysis1(妊娠中のビタミンD補給と出生児の発育、罹患率、及び死亡率との関連:系統的レビューとメタアナリシス)”によると、妊娠中にビタミンDを補給することで、赤ちゃんが低体重で生まれてしまう在胎不当過小(SGA)のリスクが低下し、生後の発育も改善することが明らかになっています。
ビタミンDは、血中のカルシウムとリン酸塩を正常に保つために必要な栄養素であり、幼少期の骨形成を促進します2。
この研究は、妊娠中のビタミンD補給が赤ちゃんの発育、罹患率、死亡率に及ぼす影響に関する臨床試験を系統的にレビューし、メタアナリシスを行ったもので、5,405人の妊婦さんが解析の対象となりました。その結果、妊娠中にビタミンDを補給すると、胎児または新生児の死亡または先天性異常リスクを伴うことなく、SGAのリスクが低下することが確認されました。また、生まれる前にビタミンD補給を受けた新生児は、ビタミンD濃度とカルシウム濃度が高く、出生時から12か月目まで3か月ごとに測定された体重も重いことがわかりました。さらに、用量別の分析では、低用量のビタミンD補給(2,000 IU/日以下)は、胎児または新生児の死亡リスクの低下と関連していました。
参考文献
1.Bi WG, et al. Association between vitamin D supplementation during pregnancy and offspring growth, morbidity, and mortality: A systematic review and meta-analysis. JAMA Pediatr. 2018; 172: 635–645.
2.Kovacs CS, et al. Maternal-fetal calcium and bone metabolism during pregnancy, puerperium, and lactation. Endocr Rev. 1997; 18: 832-872.