ビタミンDとコレステロール
2022年2月16日
【論文に触れてみよう!】
ビタミンDとコレステロール
医学誌『Indian Journal of Endocrinology and Metabolism』に2017年に掲載された論文 “Randomized Control Trial Assessing Impact of Increased Sunlight Exposure versus Vitamin D Supplementation on Lipid Profile in Indian Vitamin D Deficient Men(ビタミンD欠乏のインド人男性における日光曝露の増加とビタミンD補給の脂質プロファイルへの影響を評価する無作為化対照試験)”によると、日光を浴びることによるビタミンD濃度の上昇はコレステロールを低下させるのに対し、ビタミンDサプリメントを摂取した場合にはコレステロールが上昇することが明らかとなっています。
健康なインド人男性150人を対象としたこの研究では、50人が対照群に割り当てられ、介入群に割り当てられた100人のうち50人が1日に20分以上前腕と顔を太陽光にさらし、残りの50人がビタミンD(1000 IU/日)を経口補給しました。その結果、両方の介入群でビタミンD濃度が有意に上昇しましたが、日光曝露量が増加したグループでは総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロールの有意な減少がみられたのに対し、ビタミンDサプリメントを摂取したグループでは総コルステロールとHDLコレステロールの有意な増加とLDLコレステロールの有意ではない増加が認められました。
ビタミンDが脂質に影響を及ぼすメカニズムはまだ明らかになっていませんが、日光を浴びることの利点はビタミンDの生成だけにとどまらず、脂質プロファイルの改善にもつながる可能性があるのです。
参考文献
Patwardhan VG, et al. Randomized control trial assessing impact of increased sunlight exposure versus vitamin D supplementation on lipid profile in indian vitamin D deficient men. Indian J Endocrinol Metab. 2017; 21: 393–398.