日光から作られたビタミンDは体内に長く存在する
2022年2月16日
【論文に触れてみよう!】
日光から作られたビタミンDは体内に長く存在する
米国の医学誌『Dermato-endocrinology』に2013年に掲載されたレビュー論文 “Sunlight and Vitamin D: A global perspective for health(日光とビタミンD:グローバルな視点で健康を考える)”によると、食事やサプリメントから摂取したビタミンDと比較して、日光を浴びた皮膚で生成されたビタミンDのほうが体内に2~3倍長く留まります。
同レビューによれば、健康な30代女性が水着を着用してUVB(ビタミンDの生成に必要な紫外線)を浴びた後、168時間にわたって測定した血中ビタミンD3濃度と、その4週間後にビタミンD3を50,000 IU摂取した後、同様に168時間にわたって測定した血中ビタミンD3濃度を比較した実験の結果、紫外線を浴びて生成されたビタミンD3のほうが体内に長く留まることが明らかとなっています(図)。
その理由として、皮膚で生成されたプレビタミンD3が完全にビタミンD3に変換されるまでには約8時間かかり、ビタミンD3が真皮の毛細血管床に入るまでにはさらに時間がかかるため、経口摂取と比較して皮膚で生成されたビタミンD3が循環している時間が2〜3倍長いことが挙げられています。また、皮膚で生成されたビタミンD3は、その100%がビタミンD結合タンパク質と結合しますが、食事やサプリメントから摂取されたビタミンD3は約60%がビタミンD結合タンパク質と結合し、40%がリポタンパク質結合画分として速やかに除去されます。
したがって、食事やサプリメントだけに頼るのではなく、日光を上手に取り入れて体内で効率的にビタミンDを生成することが大切です。
参考文献
Wacker M, Holick MF. Sunlight and vitamin D: a global perspective for health. Derm-Endocrinology. 2013; 5: 51–108.