ビタミンDとメラノーマ – solar-d

2024/07/29

カテゴリー:STUDY

ビタミンDとメラノーマ

ビタミンD3は、ビタミンD受容体を介して、がんに関連する多面的な作用を発揮します。ビタミンD3は日光を浴びることにより皮膚で合成され、いくつかの食品やサプリメントにも含まれますが、体内のビタミンD3濃度が十分なレベルに達していない人は多く、ビタミンD欠乏が多くの癌に関与していることが報告されています。

皮膚がんの一種であるメラノーマ(悪性黒色腫)は、この30年で発症頻度が2倍以上になっている悪性度の高いがんです。患者の生存予測因子としては、腫瘍の組織学的特徴、特に腫瘍の厚み(ブレスロー厚)、潰瘍形成、年齢、腫瘍部位、性別、社会的剥奪などが知られています。ここでは、メラノーマのその他の環境的予測因子を同定するために、再発患者と非再発患者の比較を含む2段階のアプローチを採用した研究をご紹介します。

【方法】

ビタミンD濃度が高いほどメラノーマの再発リスクが低下するという仮説を検証するためにコホート研究を実施した。

予備的後ろ向き研究:271人のメラノーマ患者を対象とした予備的後ろ向き研究により、ビタミンDがメラノーマの再発を予防する可能性が示唆された。

前向きコホート研究:Leeds Melanoma Cohortに登録された872人の患者コホート(追跡期間中央値4.7年)の生存解析において、これらの所見を検証した。

【結果】

後ろ向き研究において、ビタミンDサプリメント摂取の自己申告は、メラノーマ再発リスクの低下と非有意に相関していた(オッズ比0.6, 95%CI 0.4~1.1, p=0.09)。非再発者は再発者よりも平均25-ヒドロキシビタミンD3濃度が高かった(49 vs 46 nmol/L[19.6 vs 18.4 ng/mL], p=0.3, 統計学的に有意ではない)。前向きコホート研究では、25-ヒドロキシビタミンD3濃度は、診断時のブレスロー厚の低さと関連し(p=0.002)、再発および死亡の独立した予防因子であった:無再発生存期間のハザード比は、血清中濃度が20 nmol/L(8 ng/mL)上昇するごとに0.79(95% CI 0.64~0.96, p=0.01)であった。結論として、診断時の25-ヒドロキシビタミンD3濃度が高いほど腫瘍が薄く、ブレスロー厚とは無関係に、メラノーマからの生存率が向上するという証拠がもたらされた。

研究者たちは、メラノーマの診断を受けた患者は日光を避ける傾向があるとし、ビタミンD充足の確保に努めるべきであると述べています。

論文情報

Serum 25-Hydroxyvitamin D3 Levels Are Associated With Breslow Thickness at Presentation_and_Survival From Melanoma

掲載誌:J Clin Oncol. 2009 Nov 10;27(32):5439-44.

掲載日:2009年9月21日 DOI:10.1200/JCO.2009.22.1135