2024/07/29
カテゴリー:STUDY
ビタミンDと月経前症候群
月経前症候群(PMS)は、月経周期の黄体期後期に発症し、月経開始後は速やかに消失する生殖年齢によくみられる疾患であり、様々な身体的、感情的、行動的症状を特徴とします。PMSは若い女性に多く、現代社会における公衆衛生上の脅威とみなされています。
体内のビタミンD状態を改善することで、炎症因子と抗酸化能が改善し、結果としてPMS症状の発生率と重症度が低下するのではないかとの推測に基づき、今回ご紹介する研究では、ビタミンD欠乏症のPMS患者を対象に、ビタミンD補充が炎症マーカーおよび抗酸化マーカーに及ぼす影響を調べる無作為臨床試験が行われました。
【方法】
参加者はビタミンD欠乏症(25(OH)D<20 ng/mL)のPMS患者44名とし、50,000 IUのビタミンD3またはプラセボを2週間に1回、4か月間摂取した。ベースライン時と介入期間の最後の2か月間、参加者はビタミンD3またはプラセボを摂取すると同時にPMS日常症状評価用紙に記入し、25(OH)D3、インターロイキン10と12(IL-10、IL-12)、総抗酸化能(TAC)の血清レベルを評価するために血液を採取した。
【結果】
ビタミンD補充後の血清25(OH)Dレベルはベースラインから47%上昇し、正常値に達した(p<0.001)。ビタミンD投与群では、介入後、IL-10とIL-12の血清レベルが18.7%と60.41%減少し(それぞれp<0.001およびp:0.001)、TACの血清平均値は36.67%増加した(p<0.001)。血清IL-12およびTACレベルに関しては、2群間で有意差が認められた(いずれもp<0.001)。総PMS症状の平均スコアは、ビタミンD群で有意な改善を示した(p < 0.001)。
これらの結果から、研究者たちは「ビタミンD補充は、ビタミンD欠乏のPMS女性における炎症および抗酸化マーカーを改善する効果的な戦略であると思われる」と結論づけています。
論文情報
掲載誌:Sci Rep. 2019 Oct 17;9(1):14939.
掲載日:2019年10月17日
DOI:10.1038/s41598-019-51498-x