2024/07/29
カテゴリー:STUDY
ビタミンDと2型糖尿病
ビタミンD不足と2型糖尿病との間には関連性がみられることが、過去に行われた複数の観察研究において示されています。また、ビタミンDが膵β細胞の機能障害とインスリン感受性に関与する可能性がin vivoおよびin vitroの研究で示唆されていることから、ビタミンD状態は2型糖尿病のリスクに影響を与えるのではないかと考えられています。
ビタミンDサプリメントによる介入で2型糖尿病のリスクが低下するかどうかを調べた以下の研究では、前糖尿病の人がビタミンDを補充すると、2型糖尿病のリスクが低下し、正常血糖値への回復率が増加することが明らかとなっています。
【方法】
ビタミンDの補充が前糖尿病の2型糖尿病リスクを減少させるかどうかを評価するため、MEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsデータベースでの文献検索を実施した(データベースの開始から2019年7月5日まで)。前糖尿病患者における新規発症2型糖尿病との関連でビタミンD補充とプラセボを比較評価したランダム化対照試験を組み入れた。研究をスクリーニングし、公表された試験から独立してデータを抽出した。
【結果】
合計4,896人の被験者を対象とした8件の適格試験がメタアナリシスに含まれた。ビタミンDの補充は2型糖尿病のリスクを有意に減少させた(リスク比[RR]0.89)。非肥満被験者(RR 0.73)では有益性が認められたが、肥満被験者(RR 0.95)では認められなかった。前糖尿病から正常血糖値への回復は、ビタミンD群では548人中116人(21.2%)に、対照群では532人中75人(14.1%)にみられた。ビタミンDの補充は前糖尿病から正常血糖値への回復率を増加させた(RR 1.48)。
ビタミンDの補充が2型糖尿病リスクを低下させるメカニズムとして、研究者たちは、ビタミンDによるインスリンの合成と分泌の調節、そして複数のメカニズムを介したインスリン抵抗性の低下の2つの可能性が考えられると述べています。
論文情報
掲載誌:Diabetes Care. 2020 Jul;43(7):1650-1658. 掲載日:2020年7月