2024/07/29
カテゴリー:STUDY
ビタミンDのがん予防効果
血中ビタミンD濃度が上昇すると、何らかのがんに罹患するリスクが男女ともに低下する傾向がみられることが、イギリスの医学誌『BMJ(British Medical Journal)』オンライン版に掲載された研究により明らかとなっています。これは、血中ビタミンD濃度とがん全体の罹患リスクとの関連をアジア人において検討したものとしては初となる、日本人を対象とした研究です。
【方法】
診断前の血中ビタミンD濃度とその後のがん全体および部位別がんの罹患リスクとの関連を評価するため、国立がん研究センターによる多目的コホート研究(JPHC Study)の参加者(n=140,420)のうち、ベースラインの質問票に回答し、血液サンプルが得られた参加者(n=33,736)をベースコホートとし、その後がんを発症した参加者(n=3,301)とランダムに選択されたサブコホート(n=4,044)において、血漿中の25-ヒドロキシビタミンD濃度を酵素免疫測定法により測定した。血中ビタミンD濃度は季節によって変動するため、参加者を男女別に4等分位に分け(罹患数が130未満のがんは3等分位)、重み付きCox比例ハザードモデルを用いて多変量補正ハザード比を算出した。
【結果】
血漿25-ヒドロキシビタミンD濃度は、がん全体のリスクと逆相関していた。血漿濃度が最も低い集団と比較して、2番目に低い集団、3番目に低い集団、最も高い集団の多変量補正ハザード比はそれぞれ0.81、0.75、0.78であった。部位別がんについては、肝がんにおいて逆相関が認められ、対応するハザード比は0.70、0.65、0.45であった。ほぼすべての部位において、ビタミンD濃度の上昇に伴うがん罹患リスクの上昇傾向は見られなかった。
研究者たちは、「これらの所見は、ビタミンDがさまざまな部位のがんに対する予防効果を有するという仮説を支持するものである」としていますが、血中ビタミンD濃度が一定のレベルを超えると、それ以上のがん予防効果は期待できない可能性があるとも指摘しています。
論文情報
掲載誌:BMJ. 2018 Mar 7:360:k671.
掲載日:2018年3月7日 DOI:10.1136/bmj.k671