喫煙がビタミンDに及ぼす影響 – solar-d

2024/08/27

カテゴリー:STUDY

喫煙がビタミンDに及ぼす影響

喫煙は、心血管や脳血管の健康に大きな害を及ぼすだけでなく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主な原因でもあることが知られています。また、喫煙者は骨折のリスクが高まるという報告もあります。

ビタミンDは、体内で最も重要な脂溶性ビタミンの一つであり、その主な循環型である25-ヒドロキシビタミンD (25(OH)D)は、血清カルシウムとリン濃度の調節に加えて、細胞増殖と免疫反応の調節に重要な役割を果たしています。ビタミンDの欠乏は虚血性脳卒中のリスクを増加させることがメタ分析で明らかになっているほか、2型糖尿病と関連があり、転倒リスクを高める可能性もあります。

近年、喫煙が25(OH)Dに悪影響を及ぼすという証拠が増えつつあります。しかし、これまでに行われたいくつかの研究には、研究デザインや参加者の特徴、検査方法などの違いがあり、喫煙がビタミンD濃度にダメージを与えるかどうかについてのコンセンサスは得られていませんでした。ここでは、喫煙行動が循環ビタミンD濃度に及ぼす影響を明らかにするために、2021年に行われたメタ分析をご紹介します。

【方法】

成人の循環ビタミンDに対する喫煙の影響を明らかにするため、2021年5月9日以前の文献をEMBASE、PubMed、Cochraneなどの電子文献データベースから抽出した。対象とした研究の質は、Newcastle-Ottawa scaleおよびJBI Evidence-based Health Care Centre criteriaに照らして2人の研究者が評価した。統計解析はSTATA 14を用いて行われた。

【結果】

基準を満たした24の研究(11,340人)がメタ分析に含まれた。メタ分析の結果、喫煙者の循環25(OH)D濃度は非喫煙者よりも低いことが示された。ビタミンDサプリメントの使用に基づくサブグループ分析では、ビタミンDサプリメントを使用している喫煙者、使用していない喫煙者ともに、対照群と比較して血中25(OH)D濃度が低いことが示された。さらに、被験者を年齢によって異なるサブグループに分けてメタ分析を行った結果、喫煙者の各サブグループの血清25(OH)D濃度は対照群よりも低いことが示された。このメタ分析の結果、喫煙者と非喫煙者では循環ビタミンD濃度に差があり、喫煙者の方が循環ビタミンD濃度が低い可能性が高いことが明らかになった。

これまでの研究では、喫煙が皮膚老化の加速、副甲状腺ホルモンの阻害、重金属の蓄積、ビタミンDの異化の増進など、様々なメカニズムを介してビタミンDレベルを低下させることが示唆されています。

論文情報

Smoking behavior_and_circulating vitamin D levels in adults: A meta- analysis

掲載誌:Food Sci Nutr. 2021 Aug 5;9(10):5820-5832.

掲載日:2021年8月5日 DOI:10.1002/fsn3.2488