日本人の98%がビタミンD不足 – solar-d

2024/07/29

カテゴリー:STUDY

日本人の98%がビタミンD不足

ビタミンDの重要性についてはよく耳にするようになりましたが、実際にはどのくらいの人がビタミンD不足に陥っているのでしょうか?

東京慈恵会医科大学の斎藤充教授らが実施した研究によると、ビタミンD充足状態の判定基準である30 ng/mlに満たない日本人の割合は全体の98%に上ることが明らかとなっています。

【方法】

日本の都市部に住む健康な人々の25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]の現在の基準濃度を算出するために、2019年4月から2020年3月までに東京都内で健康診断を受診した参加者を対象にマススクリーニングを実施した。血清中25(OH)D濃度の測定には、新しく開発された全自動の液体クロマトグラフィー・質量分析法(LC-MS/MS)システムを用いた。

【結果】

測定された総25(OH)D濃度は、免疫測定法で測定された濃度とよく相関していた。合計で5,518人の参加者が25(OH)D濃度を測定され、そのうちの98%が日本骨代謝学会、日本内分泌学会、日本骨粗鬆症学会によるビタミンD充足状態の判定基準(30 ng/ml以上)に達していなかった。総25(OH)D濃度の基準範囲は、女性7~30 ng/mL、男性5~27 ng/mL、全体6~29 ng/mLであった。腎機能と肝機能に異常のある人を除くと、その範囲は6~30 ng/mLであった。

東京の日照時間(2019時間/年)は日本の平均(1969時間/年)よりも長く、顔と両手の甲の皮膚から正午に5.5 μgのビタミンDを生成するのに必要な日照時間は7月では3.5分、12月では22.4分と推定されていることから、研究者たちは参加者のビタミンD濃度の低さが地理的条件によるものではなく、日焼け止めや日傘の使用、室内で過ごす時間の増加など、現代のライフスタイルに起因している可能性を指摘しています。また、日本ではビタミンDサプリメントを摂る人が多くなく、ビタミンDを豊富に含む干しシイタケの摂取量が近年減っていることも要因として挙げられています。

論文情報

Determination of a Serum 25-Hydroxyvitamin D Reference Ranges in Japanese Adults Using Fully Automated Liquid Chromatography–Tandem Mass Spectrometry

掲載誌:J Nutr. 2023 Apr;153(4):1253-1264.

掲載日:2023年2月2日 DOI:10.1016/j.tjnut.2023.01.036