2024/07/29
カテゴリー:STUDY
ビタミンDとCOVID-19重症度
ビタミンD状態と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症度との関連を評価したメタ分析は複数存在しますが、パンデミック初期のものは対象となる研究数が少なく、選択基準も厳密なものではなかったため、確実な結論を導き出すことは困難でした。しかし、2021年に、54の研究に基づく140万人以上もの症例を対象とする大規模なシステマティックレビューがイタリアの研究チームによって行われました。
【方法】
ビタミンD状態が、集中治療室(ICU)への入室を要する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や死亡率(主要評価項目)として定義されるCOVID-19重症度、およびSARS-CoV-2およびCOVID-19関連入院(副次評価項目)への感受性と関連するかどうかを検討することを目的として、PubMedやScienceDirectなどのデータベースでの文献検索を2021年3月31日まで実施し、ビタミンD状態とSARS-CoV-2感染、COVID-19入院、ICU入室、COVID-19入院中の死亡リスクとの関連指標を報告した、またはそれを算出するのに十分なデータを報告した全研究を同定した。
【結果】
最終的に54の研究(1,403,715人)がメタ分析に含まれた。ビタミンD状態とSARS-CoV2感染、COVID-19関連入院、COVID-19関連ICU入室、COVID-19関連死亡との関連は、それぞれ17、9、27、35の研究で報告された。ビタミンDの重度の欠乏、欠乏、および不足はすべてICU入室(オッズ比[OR]それぞれ2.63, 2.16, 2.83)、死亡(OR 2.60, 1.84, 4.15)、SARS-CoV-2感染(OR 1.68, 1.83, 1.49)、COVID-19入院(OR 2.51, 2.38, 1.82)と関連していた。ビタミンD濃度が低い患者は、SARS-CoV-2感染による集中治療室(ICU)への入院を必要とするARDSまたは死亡のリスクが高く、SARS-CoV-2感染および関連する入院に対する感受性が高いことが示された。
研究者らは、このメタ分析の結果が「ビタミンD欠乏が蔓延している脆弱な集団(高齢者施設の入居者、肥満の人、皮膚の色の濃い人など)にとって極めて重要である」と述べています。
論文情報
Vitamin D Status_and_SARS-CoV-2 Infection_and_COVID-19 Clinical Outcomes
掲載誌:Front Public Health. 2021 Dec 22:9:736665.
掲載日:2021年12月22日
DOI:10.3389/fpubh.2021.736665